
2026-08-12
神条さんと千穂は、傍から見れば仲良し女子高生コンビ。ただし、神条さんが千穂に対して一方的な百合感情を持っている点をのぞけば――という、少しいびつな関係を描いたコメディ短編集です。道満晴明先生らしい独特の作風で、性的な描写を含まない、笑いとほろ苦さが同居する一冊になっています。
本作の軸になっているのは、千穂に対して一方的な好意を寄せる神条さんと、それを受け止めきれていない千穂という、非対称な関係性です。両想いのラブストーリーとは違う、「片方だけが盛り上がっている」おかしみが、本作最大の持ち味になっています。
道満晴明先生ならではの、シニカルでありながらどこか温かい視点で二人のやり取りが描かれており、単なるラブコメとも、単なるギャグ漫画とも言い切れない、独特の読み味に仕上がっています。
表題作「あやめとあまね」のほか、「すくーぷ☆うぉーず」「S子とM子」といった短編、そしてあとがきが収録されています。表題作とは異なるテイストの短編が並ぶことで、1冊を通して読んだときに単調にならない構成になっています。
それぞれの短編で異なる関係性・シチュエーションが描かれているため、表題作の空気感が気に入った読者はもちろん、少し違うテイストの一編を求める読者にも楽しめる内容です。
本作は「もう、この百合は事故です」というキャッチコピーが付けられているように、王道の百合ものとは一線を画す、いびつさを楽しむタイプの作品です。読者コメントでも「開き直り過ぎな百合漫画」といった声が見られ、その独特な作風が賛否を含めて話題になっていることがうかがえます。
読書コミュニティサイトでは5点満点中3.33、おすすめ率54%という評価が付けられています。万人受けを狙った作品ではなく、好みが分かれるタイプの作風であることは事前に知っておくとよいポイントです。
性的な描写を含まない、コメディ寄りの百合ものを探している読者には特におすすめです。両想いの甘い関係よりも、噛み合わない非対称な関係のおかしみを楽しみたい読者に向いた一冊と言えます。
道満晴明先生の独特な作風に触れたことがない読者にとっても、短編集という形式は入り口として選びやすく、複数の短編を通してその作風の幅を知ることができます。
当サイト編集部による主観的な感想です。公式のレビュー・評価スコアとは異なります。
『あやめとあまね』は、神条さんから千穂への一方的な百合感情を軸にした、道満晴明先生らしい独特な読み味のコメディ短編集です。性的な描写を含まない安心感と、噛み合わない関係性ならではのおかしみを両立させた一冊で、王道とは違う百合ものを探している読者におすすめです。← コラム一覧へ戻る